公開日:11/14/2025
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私たちは普段コーヒーを飲むとき、「おいしい」「酸味が強い」「香りがいい」などと感じます。
しかし、それを他の人と共有しようとすると、言葉にするのが難しいことに気づきます。
コーヒーの世界には、この「味わいを言語化し、他の人と共有できるようにする」ための方法があります。
それが カッピング(Cupping) です。
カッピングは“誰でも正しく比較できるように”手順と条件を統一した、コーヒーのテイスティング手法です。
専門家の間では広く使われていますが、決してプロだけのものではありません。
ただしカッピングは完全に客観的な作業ではなく、主観的な感覚と、共有可能な評価軸の両方で成り立っています。
カッピングは、コーヒーの味や品質を人と共有するためのコミュニケーションの土台。
主観だけでも、主観を排した科学的評価だけでもなく、その中間にある「共通言語」をつくる方法です。
カッピングの目的は大きく3つあります。
比較の場で使われるため、世界中でほぼ同じ手順が使われます。
項目 | 内容 |
|---|---|
200〜220ml | |
豆量 | 8.25g ±0.25g(150mlの湯に対して) |
グラインド | 中細挽き(ペーパードリップよりやや粗め) |
お湯 | 100℃(沸騰直後) |
スプーン | カッピングスプーンを2つ |
タイマー | 必須 |
粉の状態で立ち上る香りを確認。
豆の新鮮さや焙煎度による香りの違いが最もよくわかる瞬間。
表面に浮かぶ粉の層=クラストが香りを閉じ込める。
4分経過したらスプーンで3回静かに押し込み、香りを強く感じ取る。
この瞬間の香りを“Break Aroma”といい、カッピングで最も情報量が多い香りのひとつ。
スプーン2本で丁寧に除去し、液面だけを味わえる状態にする。
8〜12分後、スプーンですくい、勢いよくすすって味わう。
「すすり音」に意味があります。
つまり、味覚と香り(後鼻腔香)が同時に立ち上がり、
風味の立体感がはっきりします。
これはワインのアエレーション(空気を含ませる)と似ていますが、
コーヒーでは温度変化の観察も重要な要素になります。
了解。では続きの 第3〜4章 を書きます。
(専門性を保ちつつ、読みやすく、正確な表現で進めます。)
カッピングは「味を言葉にする」だけでなく、
プロフェッショナル間で品質を共有するための 評価基準 も備えています。
その国際的な共通フォーマットが SCA(Specialty Coffee Association)が定めるカッピングフォーム です。
このフォームは10個の評価項目から構成され、
それぞれ 0〜10点(小数点可)で評価します。
項目 | 内容 |
|---|---|
Fragrance/Aroma | 粉の香り(Dry)と、湯を注いだ後の香り(Break)の質 |
Flavor | 全体的な風味。香りと味の統合的な印象 |
Aftertaste | 後味の質と持続の長さ |
Acidity | 酸の“強さ”ではなく “質” を評価(明るさ、透明感、清潔さ) |
Body | 口当たりの質感(軽い/重いではなく、滑らかさ、存在感など) |
Balance | 各要素が調和しているか |
Sweetness | 甘さの印象。雑味のなさとも関係 |
Uniformity | カップ間の一貫性(5杯 cupping を前提) |
Clean Cup | 雑味や汚れた風味がないか |
Overall | 全体の好印象。評価者の総合判断 |
多くのロースターがこのスコアを基準に「スペシャルティ」と呼ぶかどうかを判断します。
スコア | 評価 |
|---|---|
90点以上 | Outstanding(卓越した品質) |
85〜89.99 | Excellent(素晴らしい) |
80〜84.99 | Very Good(スペシャルティ基準) |
80点未満 | 一般的なコマーシャルグレード |
しかし重要なのは、「点数をつけること」そのものよりも、
を言語化できるようになることです。
スコアは“品質の共通言語化ツール”であり、テイスティングの目的ではない。
カッピングシートは、味を記録するための 観察ノート です。
プロの場だけでなく、学習用としてもとても役に立ちます。
一般的に以下のように使われます:
ただ点数をつけるのではなく、
その項目に何を感じたのかメモすることが本質 です。
例:
カッピングでは、温度帯での変化も観察します。
特に 低温での「Clean Cup(透明感)」 は品質評価で非常に重要。
SCA方式では複数のカップで同じ豆を味わいます。
この比較によって、
生豆の欠点や焙煎の不均一さを客観的に判断できます。
コーヒーのテイスティングは、
評価者の主観的な感覚をベースにしながらも、
コメントがあることで他者と味わいを共有できる ようになります。
点数は数値化のための便利な指標。
しかし、風味記述があるとよりイメージが伝わりやすくなります。
了解。では続けて 第5章〜第6章 を書きます。
(できるだけ専門的で正確に、かつ読みやすく仕上げます。)
カッピングで最も有名なツールのひとつが、
SCA(Specialty Coffee Association)が発表した「フレーバーホイール」 です。
2016年に大幅改訂され、現在では世界中の生産者・ロースター・バイヤー・バリスタが
風味の共通言語 として使用しています。
SCA Coffee Taster’s Flavor Wheel
フレーバーホイールは円形構造になっており、
という階層で並んでいます。
例:
Fruity(果実感) → Berry(ベリー系) → Raspberry(ラズベリー)
こうした階層構造により、
「なんとなくフルーティ」ではなく
「ベリー系だけど、ラズベリーに近い明るい酸」
のように、より正確な表現ができるようになります。
誤解されがちな点ですが、
フレーバーホイールは“味の答え”ではありません。
あくまで:
として使うものです。
「どれに近いか?」を考える辞書であって、
何を感じるべきかを決めるものではない。
自分が感じた風味を、
より多くの人と共有できる形に翻訳するための“地図”です。
外側ほど細かくなるため、
非常に視覚的で、初心者の学習にも向いています。
例:
また、コーヒーと科学的な香気化合物の研究に基づいて構築されているため、
単なる主観的なイメージではなく、
生化学的裏付けのある“香りの分類学”に近いものです。
SCAのフレーバーホイールが“標準語の辞書”なら、
Counter Culture Coffee(CCC)のフレーバーチャートは“学習者向けの羅針盤”です。
アメリカの大手ロースターであるCCCは、
教育プログラムのために独自のフレーバーツールを公開しています。
CCCは以下のような特徴があります:
例:
SCAのホイールが非常に詳細なのに対し、
CCCは「どう感じたか」→「どのカテゴリーに近いか」という
直感的なテイスティング導線を提供しています。
ツール | 性質 | 使う場面 |
|---|---|---|
SCA フレーバーホイール | 体系的・科学的 | プロによる記述・分析 |
CCC フレーバーチャート | 感覚的・教育的 | 初心者の学習、印象の整理 |
両者を併用することで、
コーヒーの風味表現はよりクリアになります。
SCA:共通言語化のための“辞書”
CCC:自分の感覚を整理するための“羅針盤”
ここまでで
という2つの味覚マップを説明しました。
カッピングは特別な設備がなくても、家庭で簡易的に体験できます。
プロトコル通りでなくても、同じ条件で比較するだけで風味の理解が一気に深まります。
コーヒーを比べるときは
焙煎度、粉量、湯量を揃えることが重要。
例:
粉8g
お湯150ml
挽き目は中細挽き
豆を挽いた直後、まず香る。
この段階が一番「どんな豆か」を理解しやすい。
150mlのお湯を真ん中から優しく注ぐ。
粉が浮いて層になり、香りが閉じ込められる。
スプーンで軽く押し込みながら香りを確認。
ここで第一印象が大きくつかめる。
勢いよくすすり、液体を霧状にして広く口の中に散らす。
鼻腔に香りが立ち上がり、風味の立体感が分かりやすくなる。
高温、中温、低温、それぞれで特徴が変わる。
特に中温帯(50〜60度前後)は甘さと複雑さが最も感じやすい。
コーヒーを理解したい人にとって、家庭カッピングは最も効率的な練習方法。
カッピングは、コーヒーの味わいを整理し、
他の人と共有するためのテイスティングの基礎です。
そして最後に大事なことは、
専門家の評価を覚えることではなく、
自分がどんなコーヒーをおいしいと感じるのかを知ること。
コーヒーは、
知識が増えるほど味わいが奥深くなり、
自分の好みが見つかるほどもっと楽しくなります。