公開日:10/26/2025
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ハンドドリップは、最もシンプルで、最も奥深い抽出方法です。
お湯と粉、たったそれだけで世界が変わるような一杯が生まれる。
でも、その裏側には再現性と理解が必要です。
MU Coffeeでは、コーヒーを感覚だけではなく理論と精度で考えています。
この記事では、私たちが日々意識している“均一抽出”の考え方をもとに、
初心者でも安定した味を出せるようになるための基本を、できるだけやさしく整理しました。
私たちは、良い抽出とは「豆のポテンシャルができる限り引き出された状態」だと考えています。
コーヒー豆の中には、およそ30%の「溶け出せる成分(可溶性固形物)」があります。
そのうち、何%が液体として抽出されたかを示すのが抽出率(Extraction Yield)です。
一般的に、19〜23%の範囲がバランスの取れたゾーンと言われています。
ただし、平均値だけでは不十分です。
たとえ平均が20%でも、豆の一部が10%(酸味が強い)で一部が30%(苦い)なら、
全体としてはバランスが崩れてしまいます。
大切なのは、どの部分もほぼ同じ割合で抽出されていること。
この「均一さ(Even Extraction)」こそ、私たちが考える良い抽出の定義です。
豆の持つ甘み、香り、透明感を最大限に感じられるのは、均一性が高いときだけです。
そして均一さを担保されている限りは抽出率が高ければ高いほど、その豆のポテンシャルを引き出せている状態になります。(条件が整えば24%を超える抽出率も可能です。)
抽出を安定させる最初のステップは、粉と水の比率を固定することです。
MU Coffeeでは、粉1gに対して水16〜17gを基本としています。
これは、プロの現場でも広く採用される“黄金比率”です。
豆量 | お湯量 | 出来上がり量 | 味の傾向 |
|---|---|---|---|
15g | 255ml | 約225ml | 軽やかで風味が立つ |
15g | 250ml | 約220ml | バランス重視 |
15g | 240ml | 約210ml | コクと甘みが強い |
スケールを使うだけで味の再現性が一気に上がります。
ハンドドリップを上達させたいなら、最初に買うべき道具は秤(スケール)です。
👉 おすすめ器具
お湯の温度は、抽出率と味の方向性を決める最も重要な要素です。
浅煎り豆は細胞構造が硬く、水が内部まで浸透しにくいため、高温が必要です。
深煎り豆は柔らかく、水の通りが良いため、やや温度を下げた方が風味が安定します。
MU Coffeeでは、次の温度帯を基準にしています。
焙煎度 | 湯温 | 味の特徴 |
|---|---|---|
浅煎り | 98〜100℃ | 明るくジューシー、果実感が際立つ |
中煎り | 94〜96℃ | 甘みと酸の調和がとれる |
深煎り | 90〜92℃ | コクと苦味がまとまりやすい |
90℃を下回ると、抽出が進まず、ぼやけた味になりやすいです。
これはMU Coffeeでの検証だけでなく、世界的にも共通する傾向です。
👉 おすすめポット
蒸らしは、粉の中に閉じ込められたガスを逃し、お湯を浸透させる工程です。
この段階でのムラが、そのまま最終の味に影響します。
MU Coffeeでは、蒸らし時に軽く撹拌することを大切にしています。
この工程によって、粉全体が同時に抽出を始める状態になります。
Barista Hustleの研究でも、撹拌(agitation)は「チャンネリング防止」と「均一抽出」の両方に効果があるとされています。
お湯に触れていない粉が残らないように撹拌しますが、かき混ぜすぎると微粉を押し込んでフィルターが目詰まりを起こします。
「混ぜすぎないこと」と「混ぜなさすぎないこと」。
このバランスが、均一なスタートを作ります。
蒸らしが終わったら本抽出です。
MU Coffeeでは「全体にまんべんなく注ぎ、すべての粉が常に抽出に参加し続ける状態」を理想としています。
中心から外へ、外から中心へ、壁に張り付いた粉も洗い流しながらゆっくり円を描くように注ぐ。
お湯が落ちていくのを少し待って、粉が表面に出る前に残りを同じテンポで注ぐ。
抽出全体で3分程度を目安に。
お湯が一点に集中したり、途中で流れが止まったりすると、
水が通る道(チャネル)ができ、部分的な過抽出・未抽出が起こります。
安定したテンポとリズム。
それが均一抽出を支える“見えない技術”です。
症状 | 原因 | 改善策 |
|---|---|---|
酸っぱい | 抽出不足・粗すぎ | 挽きを細かく/湯温を上げる |
苦い・渋い | 過抽出・撹拌不足 | 湯温を下げる/初期撹拌を見直す |
味が薄い | 比率ミス/流速が早い | 粉量を増やす/挽きを細かく/湯温を上げる |
雑味がある | チャネリング/不均一なグラインド | 目詰まりしないところまで挽きを粗く/グラインダーをアップグレード |
良い抽出は、技術と道具の掛け算で生まれます。
特に、均一さを追求するなら「再現性を高める道具選び」が鍵になります。
→ Timemore C3S Pro(コスパ◎手挽きでも安定)
→ Fellow Ode Gen2(電動・再現性が高い)
→HARIO V60 ドリップスケール(タイマー付きで安定)
→山善ドリップケトル(コスパと安定性を両立)
抽出は感覚的なものではなく、物理的な現象。
その現象を整えるための“道具”こそが、バリスタの言う「技術の一部」です。
私たちは、良い抽出とは「均一さを担保したうえで高い抽出率を実現した状態」だと考えています。
均一さが上がるほど、豆のポテンシャルが無理なく引き出され、
苦味や渋みのない、甘くクリーンな味わいが生まれます。
ハンドドリップは、感覚の世界に見えて、実は理論的なアプローチが可能です。
比率・温度・撹拌・流速といった理解可能な要素を整えることで、
“再現できる美味しさ”が手の中に生まれます。
MU Coffeeが伝えたいのは、そんな「理論で淹れる自由さ」。
シンプルな行為の中に、無限の発見があります。
香水のような複雑で甘い香り、バランスの取れた爽やかな酸味と甘味があります。JAS認証オーガニック生豆を使用。